今年の都道府県地価調査によると、恵那市の住宅地の地価は対前年比で横ばいもしくはマイナス。この傾向は三大都市圏を除く、ほぼ全国の市町村に共通する事項なので致し方のない所もあります。
ただし賃貸物件の需要は非常に底堅いものがあり、某大手不動産検索サイトの調査によると、賃貸物件の空室率は岐阜県内で一番低い(つまり稼働率が最も高い)くらいです。賃料もそれに比例して、新築物件や空室になった築年数の浅い物件の賃料設定はやや強気に思えます。それでも退去予告があってからの募集で、実際の退去前に決まっていくことも珍しくありません。ではなぜ恵那市の賃貸市場は比較的堅調(空室率は名古屋市内と遜色ありません)なのでしょうか?
まずいわゆる企業城下町ではないこと。大手企業の業績次第で稼働率が大きく上下動しません。今の企業は派遣会社の社員で雇用をコントロールする傾向にありますが、彼らは当然賃貸物件に入居するので、その動向次第で建物が半分空いてしまうこともあります。
次にリニア需要。このエリアでの本格的な工事はまだ先ですが、それでも1年前くらいから建設機械(重機の販売・レンタル)業界の事務所が拠点を設けたり、社員を増やしたりという動きがありました。事業にはまず基盤整備が必要ということでしょう。次はどの業界の動きが活発化するかわかりませんが、しばらくはその恩恵に預れるでしょう。
そして最後に需給バランスの問題。比較的都市化が遅れた分、賃貸物件の供給もそれほど多くありませんでした。一方、恵那市は車社会でありながら、旧恵那郡をはじめとする地域では、職場と自宅との通勤時間が30分以上かかるところも珍しくありません。最初は我慢して通勤していてもそのうち近くて便利なところへ移住することが多いのです。また単身向けの家賃もさほど高くなく、新卒者でも無理なく家賃が払えるというのも大きいと思います。