例年この時期は税制改正の動向が非常に気になります。既に大よそのところは固まっているわけで、負担が増えることが分かっている方は諦め半分といったところでしょうか。
こうした話題への一喜一憂は現役世代だけのもの、というのがこれまでの通例でしたが、今年はリタイア世代も負担増が気になるところです。というのも介護保険の自己負担割合が最大で3割まで引き上げられるからです。
皆さんも知っての通り、以前は年収に関係なく1割負担が原則でした。ところが2年ほど前に「現役並みの所得がある被保険者」は2割負担となりました。自己負担が倍増したわけです。
対象となるのは「年金収入等が年間340万円以上」(単身世帯、夫婦世帯で取り扱いは異なります)の人。詳細は追って公表されますが、現役時代に多額の社会保険料を負担していた高所得者の方はまず該当すると思った方が良いでしょう。現在90歳の方は60歳の定年退職時がちょうどバブルの絶頂期。支払われる公的年金も多いはずです。
なお3割負担の場合も上限があります。例えば恵那市在住の要介護2の方の場合、196,160円が保険でカバーできる上限(この範囲であれば介護保険の適用が受けられる)となっていますが、仮にマックスまで介護サービスを利用したとしても、196,160円×3割=58,848円の自己負担とはなりません。自己負担額の上限が44,400円となっているからです。(平成29年8月~。それまでは37,200円)
高齢者の数がどんどん増える中、それに比例して増大する介護費用の負担を現役世代へ丸ごと転嫁するのは極めて危険で、介護サービスを受ける人たちにもある程度転嫁せざるを得ません。税制よりも医療保険・介護保険の改正の方に注意しないといけませんね。