中古住宅の査定ほど、難しいものはなかなかありません。そこで暮らした家族の思い出や、建築した時の苦労、とりわけ思い入れのある部位を少しでも分かってほしい、それを考慮しないといけないからです。

とはいっても、それを購入する立場の人にとっては、重要視されないことも多く、「相場」という印籠を出して、落ち着くところにもっていくのは業者の腕の見せ所です。

さて、最近ではスムストック査定方式というものが少しずつ用いられるようになりました。これはハウスメーカーが主体となって決めた査定方式です。

  • 構造躯体(スケルトン)を全体の6割、償却は50年
  • 内装・設備機器(インフィル)を全体の4割、償却は15年

と、このような目安に基づいて査定します。仮に築10年の中古住宅があったとします。建築時点で3000万円かかったら、建物の評価はいくらくらいになるでしょうか?

まず、スケルトン部分=3000万円×60%×{(50年-10年)/50年}=1440万円 です。インフィル部分も同様に計算します。3000万円×40%×{(15年-10年)/15年}=400万円 です。ということで、合計で1840万円、10年で新築時点の6割くらいの建物価値です。意外に高いですね。(これに土地の評価が加算されます。)通常は10年で半分になる、と言われていますから。

この方式が教えてくれるのは、ハウスメーカーのように保証や点検の記録がきちんとしていて、購入者側に情報開示できる、そんな住宅は少し高く売れるということ。この地域では住宅を売って住み替える機会は都心部に比べてすくないですが、いざというときに備えて、保証書や点検記録の保管は必ずしておきましょう。