介護保険制度の1つに住宅改修があります。自己負担1割(又は2割)で20万円まで、そんな要件はご存知の方も多いと思います。 この制度は在宅介護を進めていく上で、非常に重要な役割を果たしてきました。段差を解消したり、手すりを設置したり、それによって要介護者の自立(例:トイレに独りで行く)を促し、同時に介護者の負担を軽くしてきたのです。施設入所か、家族との同居かの二者択一なら、やはり後者を選びたいですからね。

が、この制度が今大きな岐路に立っています。介護保険の財政が非常に厳しいことは皆さんご存知の通りですが、そのような状況をふまえ、これまで比較的手厚かった部分が厚生労働省の肝いりで見直されています。住宅改修もその1つです。

ちなみにどのくらい利用されているかというと、平成26年度の実績で約47万件、給付額は473億円ほどになります。1件あたり約10万円、意外と多いという印象をお持ちになるのではないでしょうか。 もっとも介護保険で使われるお金は年間で8兆3786億円ほどで、0.5%程度。仮に少しくらい配分を減らしたところで、全体に与える影響はそんなに大きくはありません。

とはいえ、年々肥大化する給付額に対する見直しは喫緊の課題です。保険料の負担を増やすことも当然検討しなければならないでしょう。平成16年(=10年前)の実績では全体で約5兆5220億円、うち住宅改修が約394億円、平成21年(=5年前)の実績では全体で約6兆4957億円、うち住宅改修が約374億円、  こんな右肩上がりの数字を並べられると、高齢者予備軍の年代の人たちはこれまで以上に健康に配慮しないといけませんね。