戦後間もない昭和26年(1951年)、日本における死亡場所の第一位は断トツで自宅でした。その比率は何と82%強! 病院や診療所といった医療施設で亡くなる方は12%弱。今から考えると信じられないくらい低いですね。その比率は今や大逆転し、現在では8割以上の人が医療施設で最期を迎え、自宅で亡くなる方は1割を少し超えた程度になりました。

そんな時代ではありますが、少しずつ増えている場所があります。今や100人に1人を超える数値なのですが、どこだと思われますか?

答えは介護老人保健施設。岐阜県では50人に1人の割合ですから、意外なくらい高いですね。

ということで、介護施設への入所時には「自宅の処遇」が問題になりやすいです。回復して戻れる可能性がそれなりにあれば良いのですが、それが低いと思われる場合には、処分(≒売却)によって入所費用等に充当することが現実的です。

自宅の処分の場合、3000万円控除が使えますから譲渡税の心配は不要です。が、問題はその後の相続税。使い切る前に亡くなった場合、現金の相続税評価は100%。多くの自宅が使える小規模宅地の80%減の特例はもちろんありません。金額次第ではかえって相続税が重くなるかもしれません。

小規模宅地の80%減の特例は、一定の介護施設に入所していた場合、そこに住んでいなくても自宅とみなされて適用が受けられます。相続する側とすれば、その方が負担は少ない場合も考慮して、相続・相続税対策を立てる必要がありますね。

なお少しでも実入りを増やそうと入所中に賃貸なんかにしてしまうと、特例は受けられません。特例の適用可否に関わらず、相続税負担の心配をしなくて良い場合なら有効な選択肢となるのでご一考を。

それにしても税金の負担も考えて終の棲家を考えなければならないというのは寂しい話ですね。ちなみに昭和26年と今を比べると相続税の負担が発生する人は2倍以上になりました。負担総額は522倍です。(物価は約8倍といったところでしょうか。)