社会科の授業で習った懐かしい言葉、エンゲル係数が最近注目を集めるようになりました。というのも、日本では少しずつ上昇していたからです。(最近は少し落ち着いてきました。)

さてエンゲル係数のおさらいをしましょう。

  • エンゲル係数=食料費÷消費支出×100

ここでいう消費支出とは食料費、水道光熱費、医療費、通信費、教養娯楽費等の支出をいいます。一方で所得税や住民税、さらには社会保険料といった支出は含まれません。

  • 全支出=35万円
  • 非消費支出=5万円
  • 食料費=7万5千円

このような場合は、エンゲル係数=7万5千円÷(35万円ー5万円)×100=25%になります。昨年の今頃は25.6%だったのでだいたいこれに近い数字でした。

戦後間もない昭和22年の日本でのエンゲル係数は実に63%でした。それから次第に下落傾向が続いて、平成17年には21%台と60年近い歳月をかけて3分の1にまで低下しました。

上昇の理由は幾つかあります。まず分子である食料費の支出が増えたこと。1ドル120円台の頃は輸入品の物価がどうしても高くなってしまいましたから。次に分母である消費支出の減少。食料品の価格が上昇したことで、他の消費にまわすのを手控えたわけです。

そして意外な要因がエンゲル係数の上昇に寄与しています。それは高齢者世帯の増加です。若年層と違って教育費等の支出はほとんどないでしょうから、相対的に食料費の占める支出は高くなります。こうした世帯の占めるウェートが高くなれば、自然とエンゲル係数も上昇するのです。

日本のエンゲル係数はこれからも上昇傾向が続くのは間違いありませんね。