中津川市も恵那市同様、分譲マンションはほぼゼロに等しく、郊外に大型団地もありません。地元の不動産会社が造成した小規模な分譲地が新規に住宅を取得する層を支えているのも、これまた恵那市と同じです。

ただし中津川市は恵那市よりも中古住宅の供給が多い場所です。取引された件数(最近の成約物件)だけを見ればほとんど変わらないくらいですが、中身を見ると恵那市の物件はバブル期に取引された別荘地(例:岩村町)の占める割合が結構あるのに対し、中津川市の場合はある特定の属性の物件に取引が集中しているわけではありません。「選択肢の受けが広い」ので、恵那市よりも中古住宅に流れる層は多いでしょう。

そんな中津川市の不動産事情を大きく変えそうなのがリニア開通。中津川市内に予定されている駅から東京(品川駅)までは約1時間。現在の中央線(中津川→名古屋)よりも短くなります。どのくらいの本数が停車するのか分りませんが、東京への通勤という選択肢は充分考えられます。

さらに通学という点でも革命的な状況になります。大学進学時はほぼ100%賃貸物件等への移住だったのが、中津川市に定住したまま通える人たちが増えます。こうなってくると郊外での大型団地開発と駅までの公共交通機関(バス輸送)というお馴染みのパターンが見られそうです。

中津川市にはもう1つプラス要因があります。駅だけでなく車両基地も設置される予定ですので、多くの雇用が発生し、当然ながら賃貸物件、売買物件のニーズも今とは比べ物にならないレベルになります。

今のところ周辺地で目立った地価上昇や大型の(投機的な)取引はありません。計画では9割近くが地下のトンネルを利用しますので、その影響はあるでしょう。既に着工したリニア事業がもう少し進むと、いろいろな所で表面化するはずです。