「農地」といってもその実態は様々です。田んぼ、畑、果樹園といった作物による区分が出来ますし、政策的な事情による休耕田、そして所有者による耕作放棄地という分類も出来ます。

さて最近「耕作放棄地の課税強化によるニセ農地対策」が議論されているのをご存知でしょうか? ご存知の方も多いと思いますが、「農地」か「宅地」かでは、固定資産税の評価額に極めて大きな差があります。ある調査によれば「300倍~1000倍」。これだけの格差も珍しいですね。

こうなると重い課税負担を免れるために「これは宅地ではない、農地だ。諸般の事情で作るのをやめただけ!!」と強弁する人たちがいるのもうなずける話で、営農者の後継者不足、高齢化もあいまって耕作放棄地がどんどん生まれています。

耕作放棄地の増加は様々な弊害をもたらします。農業を営んでいない人からすればせいぜい「美観上のマイナス」くらいしか感じませんが、実際は害虫の生育場所となったり、害鳥の隠れ場所になったりと、近隣の農地に与える影響も少なくありません。

ということで、今「課税強化」というペナルティで「耕作放棄地対策」が検討されています。負担を免れるためには「農地バンクへの賃貸」も掲げられており、農地としての再利用・大規模集約化も進められる予定です。

ただこれには疑問を呈する声も。農地の賃貸は戦後の農地解放で、大地主と小作人の関係に革命を起こさせることになりました。21世紀の農地解放につながる懸念は当時の関係者なら誰でも持っています。果たしてどうなるか、今後の動向に注目したいですね。