「弁当忘れても傘忘れるな」、これは私が小学校時代に読んだ本に書かれていた一文。勘の言い方はこの時点でお気づきでしょうが、これは中津川市の紹介で使われたものです。(この格言は日本海側、北陸、山陰では割と使われているようです。おそらくそれが伝わったのでしょう。)中津川市に限らず、この地域は山間部ですから、山の天気に翻弄されるがごとく突然の雨によく襲われますが、それと仲良くしていくのが快適に暮らしていく上でとても大切なのです。

この点では恵那市よりも中津川市の方がより深刻です。恵那駅の標高は約264m、中津川駅の標高は約300m、木曽川が東(中津川)から西(恵那市)へと流れていますから、これも当然なのですが、より山に近い中津川市の方が天候の変化が大きくなることを裏付ける一例です。

またその影響でしょうか、家屋には「霧除け」と呼ばれる庇が窓に付いているケースがよく見られます。窓に防犯・防災上等の理由でアルミのシャッターが付けられるようになったのは比較的最近のことで、それ以前は木製の鎧戸や霧除けがその役割を果たしていました。

霧除けの目的は、その名の通り、雨や霧の水滴が窓に付くのを防ぐため。山間部で霧が発生するのは不可避ですから、霧除け設置は自然な選択でしょう。利点はそれ以外にも幾つか有ります。主なものを2つ挙げると、①窓からの採光が失われないこと、②小雨程度なら窓を開けておいても室内が濡れないこと、です。

敷地いっぱいに建物を建築するケースでは霧除けを設置する余裕はありません。都心部の建物を見慣れた方が、この地域の建物を見て違和感を覚える部位の代表が霧除けですが、郷に入れば郷に従えで、素直に取り入れてはいかがでしょうか?