地価は都市圏では上昇基調ですが、地方では未だに下落に歯止めがかからないケースも珍しくありません。都市部への人口流入と、地方からの人口流出、この負のサイクルを止める鍵は案外土地税制にあるのかもしれません。
さてそんな負のサイクルに歯止めをかけるべく政府もいろいろと知恵を絞っています。その一環が「住み替え税制」の高齢者向け拡充です。
そもそも「住み替え税制」とはどんな制度でしょうか? これはマイホームを売却して「新しい家に買い替える」ときに税制上の優遇措置を受けることが出来る制度です。
住宅ローンの残債が減る速さ<<<不動産価格の下落の早さ の場合、どこかで住み替えを決断してもローンの残債という大きな壁が立ちはだかります。実際、それで二の足を踏んでおられる方も多いでしょう。
現在検討されているの住み替え税制は「買い換え」という看板が付いていないことでもわかりますが、賃貸住宅への「住み替え」でも税制優遇をしようというもの。なかなか太っ腹なお話です。
もともと高齢者が移住を希望していても「住宅ローンが組めない」という普遍的な問題がありました。人生80年時代に突入したのに、この分野だけは30年前から一歩も前進していないのでは。
ただ高齢者の地方移住が促進されても、過大な医療保険負担にあえいでいる地方からはもろ手を挙げて賛成とはなりません。また医療機関への利便性の格差問題を考慮すると、税制優遇だけで地方への移住は進まないでしょう。ここは思い切って都市部と地方部の健康保険の自己負担割合を「不平等」にしてみては、と思います。
例えば東京における医療保険の自己負担を「最低5割」にすれば、大きな人口移動が生じるはずです。また65歳までの医療費負担は地方は0割、65歳以上は5割にすれば、若年層の人口流入で過疎化に歯止めがかかりそう。「一票の格差による不平等」で大騒ぎする前に、「一票の格差の不平等をなくすための不平等な制度」を実施する気概がなければ問題の先送りが永遠に続いてしまいます。