介護保険を使っての住宅改修には5つの大きな柱がありますが、その中で一番地味なのが「(床の)滑り止め」ではないでしょうか。残りの4つである「段差解消」、「手すり設置」、「トイレ」、「扉」はいずれも改修のビフォーアフターが一目瞭然ですから。でも目に見えにくいところこそ、手を抜くと大変なことになりますから注意してください。
まずは皆さんに質問です。
- 家の中で転倒した場合に大きなケガを負いやすい場所はどこですか?
おそらくは「階段」、「浴室」といった場所を思い浮かべたのではないでしょうか。「階段」での転倒は地球の重力がアダになってしまいますね。「浴室」は濡れた床面が摩擦係数を低減させ、これまた大変なことになってしまいます。
確かにこの2箇所は「滑り止め」の工夫が必要です。しかし考えてみてください。皆さんは室内でスリッパを履いていませんか? また靴下を履いて室内を移動していませんか? 今風の住宅、つまり床がフローリングの住宅だといずれも「滑りやすい」格好ですね。これだといくら「階段」と「浴室」を滑りにくくしても意味ありません。それならお金をかけて改修するより、滑り止めのついた室内履きで生活する方がよっぽど合理的です。
実はこうした費用対効果の部分も「滑り止め」を地味な存在にしています。トイレや浴室のリフォームは即効性が高い、即ちお金を掛けた分の満足がすぐ返ってきますから。しかし、だからこそ住宅改修では「滑り止め」を考えたいですね。トイレのリフォームは、住宅改修云々に関係なく、寿命が近くなったら必ずリフォームしますから。