最新の情報を入手する手段がどんどん多様化かつ高速化している状況の中、かつての花形メディアである新聞やテレビの価値が相対的に低下しています。そのため、「副業」として不動産による賃料収入でそのマイナス分の穴埋めをしているケースが少しずつ知られるようになってきました。「生き残る」というのは大変なことですね。
そんな「副業」を代表する企業の1つがソニーです。本業がまだまだ花形だった時代に、保険や銀行といった異業種に乗り出しました。そして数年前には不動産業に参入しました。時代の最先端をつねに意識しているようなイメージの企業が、ある意味でもっとも変化のない不動産業に進出したのは驚きです。
ただ見方を変えれば、だからこそ進出してきたのだとも言えます。第三者的な視点で、既存の常識にとらわれることなく、業界に風穴をあけて、新風を巻き起こす、その余地が非常に多くあるわけですから。
そしてそれに敏感に反応したのが、かのヤフーで、この両社が手を組んで「おうちダイレクト」というサービスを始めました。このサービスが本格的に浸透すると、不動産業者が半減しても不思議ではないくらいの革命的なものです。
このサービスでは、売主自身が住宅の値段を決めます。通常なら市場に精通した仲介不動産会社が値付けをしますが、ここでの主導権は売主です。そしてこの場合にソニー不動産への仲介料は発生しません。(少なくとも売主に関しては、です。)ちなみにもう1つの「住み替えサポートプラン」というのを利用すると、仲介料が発生しますが、法定上限の「(売買価格×3%+6万円)×消費税」ではなく、「(売買価格×1%+6万円)×消費税」になっており、仮に売買価格が3000万円なら、約65万円も負担が少なくなります。本格的に浸透したら、不動産業者の淘汰が一気に進みそうですね。
仲介料ゼロのプランでは、その分負担を負わないといけません。例えば物件の室内写真や原稿の作成です。でもブログなんかをやっている人には全く抵抗ないはずです。ちなみに重要事項の作成や引き渡しの日程調整はソニー不動産がしてくれます。
不動産業界はその価格設定や取引形態等の多くの部分で、「透明性」や「公平性」に不安を持たれやすい業種です。それを払拭するための取り組みをしてこなかったわけではありませんが、まだまだ解決できていないのが現状です。今回のソニー不動産はもちろん、これからソニーにならって異業種から参入してくる会社や海外の不動産会社が打ち出す「新しい仲介サービス」との競争によって、そうした問題にも一気にケリがつけば、皆さんにとっても、より安心して取引できる業界になるのではないでしょうか。