毎月払っているのに、なぜその金額になるのかとなると、100人に1人も知らないのが国民健康保険料です。その計算方法は一見とてもシンプルですが、それを解きほぐそうとすると、高い壁が突然聳え立って、行く手を阻みます。

そんな国民健康保険料ですが、その中でも所得割の難解さは別格中の別格。おそらく完全解説版を作成すれば、百科事典並みの厚さになるでしょう。

所得割は読んで字のごとしで、所得を基準に計算します。そこで登場するのが「基準総所得金額」なる言葉で、各種の所得の合計額なのですが、給与であれば{給与収入ー給与所得控除}、事業所得であれば{事業収入ー必要経費}といった計算をした後の金額です。

大まかな理解としては各所の所得控除、例えば社会保険料控除とか扶養控除を差し引く前の金額ということでOKです。

そして問題をややこしくしているのが、所得税上は分離課税扱いになっている不動産の譲渡所得も、1つの項目として合算すること。つまり先祖代々の不動産を売却すると、いきなり国民健康保険料が跳ね上がってしまうのです! 介護費用を捻出するために不動産を売却したら、保険料の負担が増えて生活がさらに苦しくなってしまった・・・、ということもあるのが怖いですね。

しかもさらに追い打ちをかけるのが、「自己負担割合」がたとえ一時的であったとしても増える可能性が高いこと。また現役世代の子供が加入する健康保険の被扶養者になっていたのが、大きな収入が生じたことで、これまた一時的に外れてしまい、国民健康保険に加入しないといけないことも。資産割を減らせても、もはやぬか喜びです。

ただその一方で、国民健康保険料は上限額があり、極端な話で所得が100億円あっても、恵那市での上限は年間89万円。高額所得者は健康保険よりも負担が軽くなることもあります。

とまあそんな人はまずいませんから、本題に戻しましょう。国民健康保険には低所得者向けの保険料負担の軽減があります。仮に収入が公的年金のみで、{公的年金収入ー公的年金等控除額}が33万円以下だと、均等割と平等割がそれぞれ7割軽くなります。

ちなみに公的年金収入が年間100万円の場合、控除後の所得額は30万円。ちなみに恵那市の均等割と平等割の年間平均額は8万1800円。7割軽減されると、△5万7260円。収入100万円の世帯にとって大きいですね。

調べれば調べるほど、知っているのか・知らないのかで差がつくのが、国民健康保険料の世界。でも怖がらずに足を踏み入れるのも大切です。