2025年というと、少し前は随分先の話に思えましたが、残り10年を切ると、さすがにそんな悠長な気持ちにはなれません。

2025年は団塊の世代が75歳以上になるとき、ということもあって、厚生労働省ではその時までに「住まい・医療・介護・予防・生活支援が一体的に提供される地域包括ケアシステムの構築」の実現を目指しています。また、「人口が横ばいで75歳以上人口が急増する大都市部」、「75歳以上人口の増加は緩やかだが人口は減少する町村部」、それぞれの地域の特性にあったシステムの構築が必要とも言っています。

このシステムの構築、医療福祉業界だけの話ではありません。不動産業界でも積極的な参画が必要と言われています。なぜだと思われますか?

考えてみれば当たり前の話ですが、そもそもその高齢者の生活の起点となる住まいの話を無視してシステムの構築など出来ません。それは上にも書いてある通り。在宅、施設入所等、高齢者の住まいの選択肢はさまざまですが、その地域の特性を把握した上で、システム構築の方向性を決めていく必要があるわけです。

さらにもう一つ、時事的な問題との関係がシステムの構築と深く関わってくる、と言われ始めています。空き家対策がそれで、利便性の高い場所にある空き家を高齢者の住まいとして活用するのはどうか? といった意見が広がりを見せつつあります。

新たな施設を作るのではなく、既存のストックを有効活用し、さらに集団居住によって見守る側の負担を減らす、そんな事例が既に生まれています。広すぎる家に高齢者の1人住まいというのは、日常の清掃すらなかなか行き届かないでしょうし、衛生面はもちろんのこと、それ以外でも例えば防犯面など、心配の種は尽きません。

空き家問題は不動産業界で今一番ホットな話題の1つ。簡単にはいきませんが、このシステム構築が解決策の1つになればいいと思います。