不動産業界でいうところのPREとは Public Real Estate 即ち公的不動産のことです。ところで皆さん、日本における公的不動産の比率は大体どのくらいを占めていると思いますか?
まずはざっくりとしたお話から。日本全体の不動産の価値(土地だけでなく建物も含みます)の総計は約2500兆円だそうです。大きすぎて実感が全くないですね。このうち公、つまり非民有の不動産は約580兆円で約23%、つまり約4分の1がPREということになります。意外に大きいと思いませんか?(ちなみにこの場合の「公」は国と地方公共団体だけではなく、地方の公営企業も含まれています。)このうちの約7割に相当する約426兆円が地方の分なのですが、ではなぜこれが俎上に上っているかというと・・・
- 地方の大半が人口流出に悩んでいる。
- PREに属する老朽化した建物等の維持管理費用がどんどん負担になっている。
1と2で明らかですが、仮に費用負担が横ばいでも一人当たりの負担は増大します。(分母となる人口が減少しているので) そこで対策を講じる必要が出てきたわけです。PREがお荷物になるか、金の卵を産むニワトリになるのか、今後の地方財政を考えるうえで非常に重要なのです。
国の路線はほぼはっきりしています。「コンパクトシティ化による負担の軽減」です。例えば居住区をなるべく集約させれば、社会資本の整備にかかる費用負担は楽になります。下水道を市内全域にいきわたらせるのに、工事距離が延べ1000キロなのか、延べ1万キロなのか、どちらが負担が軽いかは子供でも分かります。それは単に工事費だけでなく、維持管理コストも含めてのお話です。
この地域で居住エリアの集約化はただのお題目と一蹴されるでしょうが、都市計画上ではそういった誘導はなされるでしょう。集約化を促進するエリアには各種の補助金がつくでしょうから、それによる居住環境の改善を見越して、土地を選ぶのも良いかもしれません。