高齢者人口の比率が高まる一途なのは周知の通りです。当然ですが、それに比例して不動産取引でも「対高齢者」という機会が増えています。中古住宅の売主と買主双方が高齢者というケースも珍しくなくなるでしょう。

そんな時代背景もあってか、取引の際に注意しなければいけないケースも増えています。それは取引相手に「正常な判断能力があるか否か」ということです。不動産の売買というのは特に注意が必要です。何といっても取引の金額が大きいですから。

高齢者に限りませんが、正常な判断能力のない人を民法では「行為無能力者」として特別に保護しています。高額な買い物を勝手にされたり、あるいは大切な資産を勝手に処分できなくするためです。未成年者や成年被後見人がその代表です。そしてその保護としてよく利用されるのが成年後見制度です。今後の業界では不可避の制度です。

よく質問を受けるのは要介護状態の場合はどうかということ。皆さんはどう思われますか?

ここで問われるのはあくまでも判断能力について。車椅子に乗っている人であっても判断能力が正常なら通常の取引で大丈夫ですが、たとえ介護とは無縁なくらい健康な人でもたった一箇所、つまり脳の判断能力に欠陥があればアウト。そこを間違えないようにしないといけません。

ある調査によれば「高齢者の7人に1人が認知症」とのこと。2025年には「高齢者の5人に1人が認知症を発症している人」と将来推計で出ています。そんな時代なのですから、「話が違う」といって後でひと悶着起きないように、相手の判断能力を事前によく確認しましょう。