子供の頃、リニアは正しく「未来の乗り物」でした。超電導なる言葉の響きが、よりそれを深めていました。
それからしばらくして時が流れ、ようやく実用化となりました。開通は2027年予定なので、残り10年を切りました。沿線の住民としては国家的な大プロジェクトが行われる場所に選ばれたことに大きな喜びを覚えています。
さてリニアが開通した後の未来予想図がいろいろなところで語られていますが、そのうちの1つが、「名古屋が大阪を抜く」という話です。俄かには信じられませんね。
再び子供の頃の話に戻ります。日本における人口その他さまざまな要因から、1位:東京(を含む首都圏)、2位:大阪(を含む近畿圏)、3位:名古屋(を中心とした中部圏)、という序列がありました。しかしその差が徐々に縮まってきているのです。
例えば分かりやすい指標の一つに人口があります。1985年と2015年でそれぞれ比較してみましょう。
■大阪府・・・1985年:約867万人⇒2015年:約884万人(+17万人)
■愛知県・・・1985年:約645万人⇒2015年:約748万人(+103万人)
■大阪市・・・1985年:約264万人⇒2015年:約269万人(+5万人)
■名古屋市・・・1985年:約212万人⇒2015年:約230万人(+18万人)
頭に刷り込まれた常識というのは恐ろしいもので、大阪府と愛知県、大阪市と名古屋市の差は「意外なくらい小さい」のに気付きます。またこの30年間で愛知県が大きくその人口を増やしたのに対し、大阪府は微増にとどまっています。この状況が今後も続けば逆転云々も夢物語ではなさそうです。
ただし残り10年で逆転するとは思えません。東京に本社、大阪に西日本の本社機能という体制が変わるには、東京と名古屋、名古屋と大阪の地理上の位置関係から相当難しいからです。リニアが東京⇔名古屋ということで、少しはオフィス、大型店舗に移動がみられると思いますが、現在の大阪にとって代わるほどではないでしょう。
しかし予想は予想です。いい意味で裏切られることを期待しつつ、その時を待ちましょう。