有名な落語のネタの1つに「目黒のサンマ」というのがあります。内容は割愛しますが、江戸時代の庶民文化を瞬時に理解できるネタですので、興味のある方は是非ネットで情報収集して下さい。
サンマは「秋刀魚」と書くように秋が旬の魚です。秋になるとサンマを焼く匂いがあちこちで漂っていましたね。このように昔はそれこそ庶民の味方のような位置づけでしたが、最近では漁獲量も減少し、おいそれとは手を出しにくくなっています。
それを象徴するのが今年の9月10日に行われた「目黒のサンマ祭り」です。会場で供されるサンマ(全7000匹が何と無料!!!)は岩手県宮古市で水揚げされたサンマを会場まで運んできましたが、思いのほか漁獲量が少ないので、北海道産のものを運んできて、数量を確保したとのこと。さらにその翌週は宮城県の気仙沼で水揚げされたサンマを振る舞いましたが、前年に水揚げされた冷凍物を使わざるを得なかったとのこと。
このお祭りには毎年3万人以上が訪れるそうです。「タダだから」というのもあるのでしょうが、焼き立ての美味しいサンマはたとえ有料でも多くの人を引き付けるでしょう。
さらにいえば、都心部に住む人にとって「家でサンマを焼く」こと自体がとても困難です。なぜなら下手をすると室内に設置された火災報知器(煙を感知するタイプ)が反応するかもしれませんから。庶民の味方の食材なのに食べたいときは外食するしかない・・・、その欲求不満が祭りに足を運ばせるのでしょう。
田舎暮らしに憧れる理由の中に「炭火や七輪で調理したものを食べたい!」というのがあるようです。サンマ好きな人なら、広々とした庭先でウチワで扇ぎながら七輪で焼いたものを食べたいでしょうから。
都会暮らしの方が、「目黒のさんま」に登場する殿様にダブりますね。