「火の用心、マッチ一本、火事の元」、今となってはほとんど見られなくなりましたが、昔は冬になると町内で夜回りを行い、火事に対する注意を喚起していました。乾燥した空気、強風、そして暖房器具の使用といった冬ならではの要因が複合的に絡み合って、火災の被害が大きくなりやすい時期だからです。(そもそも今の子供はマッチを知らないかもしれませんね。)

と、ここまでは20世紀の話。21世紀の冬は別の用心が必要です。さて何だと思われますか?

答えは「お風呂」。家庭内で最も死亡事故が多い場所が浴室なのは皆さんご存知の通り。無防備な状態であることに加え、床面が滑りやすい、脱衣場との温度差が大きく血管の収縮が大きいなどなど、冬の入浴は特にリスクが高いのです。

そして浴槽内で足を滑らせて溺死・・・ということも意外なくらい多発しており、年間で4~5000人くらいの方が亡くなっているのですが、そのうちの約5割が12~2月に集中しているとのこと。家庭内の浴槽のような空間で溺死する人がいること自体、俄かには信じられませんが、その数を聞けば認めざるを得ません。

住宅の新築や増改築或いはリフォームされるときは「冬場の入浴を安心してできるようにすること」を意識することをお勧めします。