2ヵ月ほど前のことになりますが、”来年4月からキッズウィーク導入へ”という報道がなされたのを覚えていますか?
そんなことなどとっくに忘却の彼方という方も多いでしょうから、改めてご説明すると、「全国の小・中・高校で地域ごとに夏休みを5日間減らして、その分を他の月(例えば6月)のどこかの平日5日間の連休にする。これによって前後の土日を含めて最大9連休が実現する」というものです。
わざわざ仰々しくキッズウィークなどと言っているのは、子供たちの休みに合わせて企業も休みにするよう、政府が強く要請するからです。つまり親子ともども9連休にしようというわけで、背景には有給消化や観光消費の増加という狙いもあるようです。
と、ここまではとても良い話ですが、今の日本社会がそれを受容できるかというと、かなり厳しいのではと思います。
そもそもプレミアムフライデーすら、周知徹底されていない状況ですし、中小企業をはじめ多くの現場では、導入する気は全くないでしょう。
キッズウィークでは観光消費の増加を当て込んでいますが、観光客を受け入れる側はキッズウィークの間、9連休に関係なくフル回転です。地域ごとなので、終わった後自分たちだけ9連休というわけにもいきません。観光産業サイドのお子さんたちはキッズウィークの間、かえって寂しい思いをするでしょうね。
また病院などの医療福祉機関に従事している人たちをはじめ、多くの職場が「いくら政府からの要請でも・・・」と「休みたいけど休めない」のではないでしょうか。これまた関係者のお子さんにとって・・・。
今の若い方には信じられないかもしれませんが、日本で最初にコンビニエンスストアが出来てからようやく50年程度。テレビが24時間放映するようになったのは、それよりももっと後のこと。そもそも24時間テレビというタイトルの番組が出来た当初は、24時間休みなしで放映することが年に1度のお祭りだったのです。
最近ではアマゾン等の大手ネット通販による翌日配達が、物流産業に携わる人たちに過大な負担をかけているのが社会問題になっています。一度味わった甘美な利便性を手放すのは難しいですが、キッズウィークではその利便性が何を犠牲にして成り立っているのかを考える時間にしていただきたいですね。