新聞を読んでいると「相続」の文字が見当たらない日の方が珍しくなってきました。セミナーへのお誘いはもちろんのこと、読者の悩み相談コーナーなどでも以前に比べると、その話題が取り上げられる機会が増えています。長寿社会が進んだことで、もらう側、つまり子供の方が先に認知症になってしまうケースなど、他人事とは思えませんね。

さてそんな中で「遺贈」の価値が改めて見直されてきています。単純にいえば「私が死んだら、この財産を~~~に遺贈します。」という遺言状に基づき、財産を移転させるもの。関係者の遺留分を侵害しないこと、法的に有効と認められるには一定の形式を満たすことなど、幾つかの注意点はありますが、それさえクリアすれば、「あげたい人に確実に渡す」ことが出来ます。

遺言状というと、「犬神家の一族」に代表されるように、「かえって遺族の間に争いの種を増やす」ようなイメージがありますが、決してそんなことはありません。相続人に対する配慮を忘れなければ、問題が起きる確率は遺言状がない場合よりもずっと低いです。

最近では、資産家の方が社会貢献している公益法人などに、その遺産を寄付するケースが目立ち始めています。相続という方法では、被相続人と法人には血のつながりがあるわけではないので、遺産を承継させることが出来ません。その意味でも、非常に有意義な制度ではないでしょうか。