ある調査によると、日本では8割の人が生命保険に加入しているそうです。地震や洪水、さらには噴火などの自然災害に見舞われることが多いからでしょうか、万一の事態に備える気持ちが日本人のDNAに刷り込まれていて、保険にも当然のように加入していますね。

生命保険の出番といえば、通常の場合、相続の発生時。遺族の方への生活保障、或いは相続税の納税資金等、幅広く使われているのは皆さんご存知の通りです。通常は本人が自分に生命保険をかけるものですが、中には「ある目的」のために、契約形態を変えるケースもあります。代表的なものは

  1. 契約者・保険金受取人:A 被保険者:B
  2. 契約者:A 保険金受取人:B 被保険者:C

この2つです。皆さんはこの違いが分かりますか?

まず1。こちらは保険金を受け取った相続人に所得税得が課せられます。保険料自体を相続人自身が負担しているからです。この場合、一時所得扱いとなりますが、もしこちらの方が相続税を納付するよりも少額であれば、選択肢になります。中には、保険料分を被相続人から贈与を受け、そして贈与税の非課税枠を賢く使って、実質ゼロ負担で保険金を受け取るケースもあります。被相続人から現金が移転すれば、その分遺産の総額が減りますので、相乗効果は意外とありますね。

次に2。こちらは保険料を払っている人と保険金をもらう人が別のケース。例えば、お父さんが被保険者、お母さんが契約者、そして子供が保険金受取人になる場合です。

こちらはあまり見ないケースです。というのも通常は相続税<贈与税なので、わざわざ贈与税を選ばないからなのですが、お父さんが亡くなったときに、お母さんがそれなりに遺産を相続すると、今度はお母さんが亡くなったときには、お父さんの遺産、そしてお母さんの個人資産に対する相続税を負担しなければなりません。2回分の相続税が多大な場合、お母さんの個人資産を大きく減らせる生命保険への加入で、税負担の総額を減らせるわけで、そんなときにはこのパターンが使われます。

その昔、「足腰を 鍛え鍛えて ガンで死に」という川柳がありました。目先の税負担の軽減に目くじらを立てておきながら、最終的に相続税で持っていかれて、トータルでの税負担が重くなるケースがあります。配偶者控除云々に振り回されて、社会保険料や税負担を免れることに躍起になるより、稼げるときに稼げるだけ稼ぐ人生の方がプラスになることが多いのではないでしょうか。