間もなく秋分の日、日中の時間が短くなっていくのを日ごとに強く感じるようになります。秋の夜長という言葉が頻繁に使われるようになるのもこの頃ですね。(ちなみに「夜長の候」という手紙の書きだしは、10月に使われます。)

でも実際に夜が一番長い時期は冬至の時期です。つまり12月後半なのですが、なぜこの時期を「秋の夜長」というのでしょうか?

昔の住宅は今よりもずっと気密性が低く、冬の寒さはより厳しいものでした。日が落ちてから気温の低下はより加速しますから、遅くまで起きていることは出来ません。寒くなる前に暖かい布団にくるまって床に就くわけです。

一方で秋はどうでしょうか。「お月見」という慣習があるくらいですから、夜更かし出来るくらいの余裕があります。そして深夜になってようやく床に就く、そんなところから秋の夜長という言葉が生まれたのかもしれませんね。

ちなみに恵那市では、昨年の10月10日23時の気温が14.1度でした。一方今年の1月10日は17時の時点で既に6度、これだけ気温差があると「秋は夜に出来る限り冬の準備をして、冬は極力早く眠る」、そんな生活の知恵が自然と発生しますね。冬籠りする動物たちの姿を見て真似をする、「食欲の秋」も生活の知恵の一部です。