住宅を建築する際には、さまざまな悩みがあります。特に土地から取得する方は「土地が先か、家が先か」というところから始めなければなりません。

土地を購入する場合の優先順位はこれまた個人差があり、家族の中で意見が分かれることもしばしばで、利便性を重視される方もいれば、それよりも日照条件に重きを置く方もいます。いったん取得したら簡単に移動するわけにはいかないので、こだわりも当然です。

さて、ここで皆さんに質問です。次の2つの土地だったら、どちらを選びますか?

  • 土地X・・・日照条件Aランク、通風条件Bランク
  • 土地Y・・・日照条件Bランク、通風条件Aランク

この場合はおそらく土地Xを選んだ方が圧倒的に多いと思います。太陽の魅力は何物にも勝りますから。でも本当にそれでいいのでしょうか?

「日照条件は良いけれど、風通しはあまりよくない・・・」、こんな土地に住宅を建築するとどうなるでしょうか?

一言でいえば、「体に余り良くない」です。最近の住宅は高気密・高断熱の性能が著しく進歩していますので、その反動として何もしなければ昔の住宅よりも室内の換気は悪くなっています。換気の悪さは、カビ・結露の発生につながります。空気が入れ替わらないということは、臭いも籠りやすいですね。空気感染や飛沫感染する病気、例えばインフルエンザが家庭内で蔓延しやすくもなります。

ということで、現代の住宅づくりは「日照よりも通風」に重きを置かなければならなくなってきています。間取りや設備で補完できる部分もありますが、せいぜい3割増しくらい。それにお金をかけるくらいなら、土地にお金を使って別の土地を選ぶことも考えた方が良いでしょう。

ちなみに住宅を長持ちさせるためには、床下の換気がとても重要です。基礎に設けられた換気口がもし雑草やなんかでふさがれてしまうと、ただでさえ日の当たらない部分ですから、地面からの湿気が風が通らないために籠ってしまい、衛生上最もよくない「高温多湿」の環境が出来上がってしまうからです。そして、それはいずれそこで暮らす人の健康に悪い影響を与えるでしょう。

太陽が与える精神的な健康、風が与える肉体的な健康、高いレベルで両立するのが理想ですが、なかなかそうはいきません。だからこそ長い目で見た建築地の選定が重要です。(ちなみに恵那市は冬でも日照時間が長く、強い風もあまり吹かない場所です。)