これまで不動産業界で「3000万円控除」といえば、マイホームを譲渡した場合の特例のことでした。(詳しくはコチラ。)今後はそれが大きく変わるかもしれません。

というのも最近急激に関心を集めるようになった空き家問題。その対策の一環として今年度から「空き家に係る譲渡所得の特別控除の特例」が導入されたからです。こちらも同じ「3000万円控除」ですし、この制度に該当するのは、こちらの方が多いはずですから。(マイホームの売却益で3000万円以上出るケースはなかなかありません。地価が長期下落しているこの地域ならなおさらでしょうね。)

本題の「空き家に係る譲渡所得の特別控除の特例」を受けるためには幾つかの制限があります。

  1. 相続した空き家の譲渡であること。(被相続人が居住の用に供していた家屋及びその敷地が対象。)
  2. 相続開始の直前に被相続人が単身で居住していた物件であること。
  3. 昭和56年5月31日以前に築造された建物であること。
  4. 相続時から3年を経過する年の属する12月31日までに譲渡すること。(例:平成25年9月10日に相続⇒平成28年12月31日まで)
  5. 相続時から譲渡時までの間に、事業、貸付、居住の目的で使用されていないこと。
  6. 家屋付で譲渡する場合は、一定の基準を満たす耐震リフォームを行うこと。
  7. 6を行わない場合は、更地化して譲渡すること。
  8. 譲渡価額は1億円以下であること。

主なものを列記しましたが、結構ハードルがありますね。適用条件からも推察できる通り、この特例の目的は、旧耐震物件の空き家の除却促進です。リフォームにお金をかけるより、更地化した方がいろいろと都合がいいですから。(購入する側も、耐震リフォームした築35年以上の中古より、更地の方が良いですよね。)

加えて、除却が進むことで固定資産税や都市計画税の増収も期待できます。除却前は住宅の敷地ということで、大きな軽減を受けていましたが、それがなくなるわけですから。

この特例は国税や地方税の担当者との知恵比べ。目先の利益だけを追いかけないようにしましょう。