先日、平成28年分の路線価が公表されました。相続税(&贈与税)の算出に重要な役割を果たすものですので、相続税対策を意識されている方は既にチェック済みかと思います。
直近のデータによると、相続税の対象となる人の数は微増が続いています。お亡くなりになる方が年々増えていますから、これはある意味仕方のないこと。さらに相続人の方(つまり子供側)の人数が少しずつ減っていますから、自然と1人あたりの相続財産も増え、結果として納付しなければならない人も比例して増えているわけです。
さて皆さんは「2割加算」という言葉を聞かれたことがありますか? これは大雑把に言うと「被相続人の配偶者、親、子を除く相続人、つまり被相続人の兄弟姉妹、あるいはその子供=被相続人の甥・姪については相続税が2割加算される」制度のことです。
被相続人の兄弟姉妹に相続権が発生するのは、
- 法定相続人が被相続人の配偶者のみで、子供(代襲相続人である孫も含みます)や親がいない
- 法定相続人が被相続人の兄弟姉妹のみ(上のケースに加え、配偶者もいない)
こんな場合が代表的です。最近はお子様のいないご家庭も結構ありますから、2割加算の対象になることが結構あるかもしれませんね。
もちろん相続した財産以上に課税されることはありえないのですが、相続する財産の大半を占める不動産は、換金性が低い資産の代表ですので、思わぬ出費を強いられる可能性は十分にあります。(手元に現金がなければ物納(・・・お金がないので物=不動産で払います)という制度もないわけではありませんが。)
自分の家族の相続税対策はバッチリでも、別世帯の身内からの流れ弾で計算が狂う、そんなことがないようにしたいですね。
ちなみに以下の条件だと納付する相続税はいくらくらいになると思いますか?
- (相続税評価額による)遺産総額:1億円
- 法定相続人:被相続人の弟1人だけ
- 各種の控除(未成年控除等)は考慮しない
この場合、通常の計算だけで何と1220万円もの相続税ですが、2割加算によってさらに244万円アップして、合計は1464万円! 路線価は自分の家庭だけでなく、身寄りのいない兄弟のもチェックしておく習慣をつけましょう。