最近の住宅政策は、明らかに「中古住宅>新築」です。今ある資産を有効に活用しようということで、経済的な面はもちろん、環境面への影響も考慮されています。

さて、その根拠となっているのが住宅の平均寿命で、「日本は26年、一方アメリカは44年、イギリスに至っては75年」という数字。確かにこの数字だけを見ると、日本がいかにストックを無駄にしているのかということがよく分かります。

が、これは一種の数字のトリックで、このデータは「固定資産税台帳」をもとにしているのですが、建築年次(・・・台帳に掲載されるようになった)と除却年次(・・・台帳に掲載されなくなった)の差から算出されています。(ちなみに過去5年分の平均値とのこと。)

ということは築100年の立派な家は、ずっと台帳に載りっぱなしなので、統計の対象にはなりません。対象となるのは除却されたとき、つまりようやくその時点で110年という数字がデータとなります。

考えてみれば、筆者の自宅周辺で築26年で家を建て替えた人はほとんどいません。本来の平均寿命は明らかにもっと長くないとおかしいですね。そもそも人間の平均寿命は「0歳時点の平均余命」ですから、似て非なるものなのです。

そこで、ある大学教授が本来の意味での「住宅の平均寿命」を調べました。そうしたら40年を超える数字が出てきたそうです。地震をはじめ、台風による風水害などに事欠かない日本で、アメリカとほとんど変わらぬ数字なのですから、これは誇っていいですね。