改正宅建業法が可決されました。この改正(施行時期は未定です)により、中古住宅の流通がより円滑になるものと期待されています。

ざっとその概要を列挙すると、

  1. 媒介契約締結時、建物状況調査(インスペクション)を実施する者のあっせんに関する事項を記載した書面を依頼者へ交付する。
  2. 買い主等に対して建物状況調査の結果の概要等を重要事項として説明する。
  3. 売買等の契約成立時に建物の状況について当事者の双方が確認した事項を記載した書面を交付する。

順を追って説明すると、媒介契約締結時ですが、これは中古住宅を売ってほしいと売主が宅建業者に依頼したときではなく、実際にその物件に購入の申し込みがあり、買主側が宅建業者と媒介契約を締結するときです。このときに購入しようとしている中古住宅について、専門家による診断の依頼をあっせんすることになるわけです。

その後、契約前に行う重要事項説明時に、結果の概要を説明し、さらに契約時に双方がその内容を確認した書類を交付する、こんな流れです。

肝心の「専門家による診断内容」についていうと、

  • 建物の基礎、外壁等に生じているひび割れ
  • 雨漏り等の劣化事象・不具合事象

について目視、あるいは計測器(水平器、クラックスケール等)によって診断します。

これにより、透明化が促進される一方で、『どうしてそんなことまでしなけれならないのか』と過大な負担のために二の足を踏む人や『それなら更地化して売ってしまおう』という人が増えるでしょう。

今回の改正には既存ストックの活用という狙いもありますが、意外と思い通りの成果が挙がらないような気がします。そもそも不動産業界というのは、面倒くさがりが多いですから、なるべく負担の少ない方向へ誘導したがるので・・・。