不動産を活用する、簡単そうに見えますが、いざ真剣に考えるとその選択肢の多さに愕然とするのではないでしょうか。仮に土地を貸すにしても、そのまま貸すのか、何か建物を建てて貸すのか、さらに建物は居住用なのか事業用なのか、さらにさらに事業用なら商業系なのか事務所系なのか・・・。

このように情報の海の中で溺れそうになる前に基本的な考え方を身に着けておくことをお勧めします。まずは民法206条(所有権の内容)がその重要な出発点になります。

所有者は、法令の制限内において、自由にその所有物の使用、収益及び処分をする権利を有する。

どうでしょうか。所有権とは何か、つまり土地を持っているというのは何ができるのかということが実にシンプルかつ明瞭に書かれていますね。

つまり、①使用、②収益、③処分、この3つが自由に出来るのが所有権なわけです。

まず使用。これは「自分でその土地を使うことができる」ということ。つまり「自己使用」です。次に収益ですが、これは「他人に貸してお金をもらうことができる」ということで、いわば「賃貸」です。そして最後の処分、文字通り「売却して対価をもらうことができる」ことを指しますが、それだけでなく抵当権等の権利の目的にすることも含まれます。

不動産活用も突き詰めていけば、答えは実にシンプルで選択肢は3つしかありません。

  1. 自分で使う。
  2. 他人に貸す。
  3. 売却する。

一見無数の選択肢があるように思える土地活用も、このどれかに必ず含まれます。そう考えるとかなり頭の中がすっきりしますね。まず1~3のどれにしたいのか、そこから考えればよいのです。

そして上の1~3は2つに大別できます。1と3のグループ、そして2なのですが、この意味が分かりますか。

答えは2だけがビジネス、即ち地主さんが経営者になります。消費者契約法ではアパートの大家さんも「事業者」扱いされますが、それと同じこと。マイホームを建てたり、誰かに売るのとは、そこが大きく違います。

自分の身の丈にあった土地活用を考えるうえで、まずは明確な方針を立てましょう。立てる上でのヒントはもうお分かりですね。