昨年は空家問題が国として火急の問題であることを認めた年でした。「空家対策特別措置法」の施行は、その象徴といえるでしょう。

平成25年時点で820万戸に達していた空家は現在「6万4000戸/年」というペースで増え続けています。どのくらいの規模か想像がつかないかもしれませんが、恵那市の世帯数が約1万8000世帯、中津川市が約2万9000世帯、瑞浪市が約1万5000世帯なので、この3市が丸ごと全て空き家になるほどの規模といえば、皆さんもその問題の大きさにびっくりされることと思います。

国としてもこの問題を重く考え、国土交通省からは「発生を抑制するための特例措置創設」の要望が、平成28年の税制改正大綱に盛り込まれたほどです。

中身としては相続発生に伴い、空き家になった家屋のうち、旧耐震に該当する物件を除却した場合の除却工事費(上限250万円)の10%について所得税から控除するというもの。

両親の実家問題は離れた場所に住む子世帯にとって頭の痛い問題です。最近の古民家ブームに逆らって、「積極的に壊す」ことが正しいわけではありませんが、『あてのないものを維持するくらいなら、思い切って~』という意味では評価できる制度ですね。

ただし別の問題もあります。空家を除却した後に残るのは空き地です。空き地も放置すればたちまち荒れ野原になり、価値は大幅減。利用するなら「その後のビジョン」が大切です。