恵那市は中津川市よりも都市化が遅れた地域です。その分社会資本の整備も遅れましたが、その分新しい時代に適合する社会資本への投資が行われてきました。

一例を挙げると、恵那市岩村町の下水道。市町村合併前は恵那郡岩村町でしたが、この地域ではその普及率が平成14年時点で既に97%を超えていました。コンパクトな町だったこともありますが、「遅れているところほど社会資本が整備されている」好例です。

そんな恵那市は住宅地の日照条件でも、中津川市より恵まれている場所が多いです。中津川市は中山道に沿って集落が形成されてきた箇所が多いですが、南に恵那山を臨む環境であるため、土地としては北垂れ(北が低く、南が高い土地。南側の隣家の方が地盤が高いため、日当たりは悪くなる。)のところが結構あります。平成になって造成されたような分譲地ではそういう例は少ないですが、「土地なら何でも良かった」バブル時代は贅沢は言えなかったので、北垂れの住宅が数多く供給されてきました。

一方の恵那市、駅前の中心部は平坦です。新しく土地を取得する人は、比較的安価な駅北部の山すその土地を開拓した分譲地を求めました。こちらは北側に山を背負った南垂れの土地。日当たりはもちろん眺望もなかなかのもの。中心部を見下ろす場所に立っていて、しかも中心部は平坦なので市内が一望でき、そして視線の遠く先には山なみがある、そんな場所が「新恵那市民」の居住地となってきました。今ではその子世帯、あるいは孫世帯がそのさらに外周上の分譲地で暮らし始めています。