~~のない暖炉

2018年2月8日

その昔、現在ほど冷暖房器具が充実していなかった時代、日本の家屋は囲炉裏によって暖をとってきました。時代の変遷とともに、洋風のDK、LDKにどんどんととって代わられてしまいましたが、最近ではかえってその希少性から「囲炉裏」を付加価値とした民宿や料理店が人気を集めています。灯油をはじめとした化石燃料、そしてその延長上にある電気、クリーンかつ再生可能なエネルギーがもてはやされている時代になるにつれて、それらの地位が相対的にどんどん低下していく一方で、木材という自然素材かつ再生可能資源の地位は上昇していますが、それも追い風となっていますね。

さて暖炉です。映画の世界、あるいは一握りのお金持ちたちのもの、そんな時代は終わりを告げ、一般の家庭でも灯油や電気、あるいはガスストーブに代わって暖炉を設置するケースが増えています。環境問題云々といったイメージの部分もありますが、何といっても「暖かい」、これに尽きますね。寒さ厳しいこの地域ではそのニーズが特に強いです。

そんな暖炉のメリット・デメリットを列記するとこんなところ。

【メリット】

  • 暖かい。
  • 消火した後も余熱がしばらく持続する。
  • 高級感がある。
【デメリット】
  • 暖まるまでに時間がかかる。
  • 見張りが必要。
  • 掃除が大変。
  • 木材の維持管理・ストックする場所の確保。
  • 火に対する恐怖感がある。
  • 匂いが出る。
暖炉マニアの方からは抗議が来そうですね、デメリットの方が多いから。が、見方を変えればそれらのデメリットを許容できるだけの暖かさがあるということ。

そんな暖炉に不可欠なものといえば煙突です。昔ながらの日本家屋、即ち囲炉裏を設置していた場合、煙は天井へと逃がしていただけで外部へ排出はしていませんでした。暖かい空気は上へ上へと行きますから、それを逃がすのは勿体ないという考えでしょうか。また木と紙で作られた日本家屋は、湿気や気温で膨張や収縮が行われやすく、隙間が必然的に発生するので、自然と室内外の換気が出来ていたという側面もあるでしょう。

その煙突がない暖炉が最近広がっています。なぜ必要ないのかというと木材を使わないからで、ガスや専用のエタノールといった燃料を使った暖炉だからです。ガスや灯油のファンヒーターが暖炉の形状になった、そう思った方が良いかもしれません。

インテリア性も非常に高く、海外のメーカーを中心に非常におしゃれな暖房器具が商品化されています。火が点いていなければ現代芸術家が製作したオブジェと勘違いしても不思議ではないくらい。

上に挙げた暖炉のデメリットである匂いとか清掃、薪の管理という面からは解放されます。また暖炉ならではの「火を鑑賞する」愉しみも奪われません。IHクッキングヒーターの登場で、火の怖さに触れる機会が少なくなっている時代ですから、こうしたものに日常的に触れておくことも大切でしょうね。