2016年8月記事一覧

成長産業

2016.08.29

日本銀行ではお金にまつわる様々なデータを公表しています。「貸出先別貸出金」もその1つで、業種ごとに貸出残高が幾らあるかを知ることが出来ます。

Q:次の中で不動産業は?(日本銀行「貸出先別貸出金」より)

  1. 11兆4034億円(2015年3月末時点)⇒11兆3733億円(2016年3月末時点)
  2. 63兆7003億円(2015年3月末時点)⇒67兆6991億円(2016年3月末時点)
  3. 55兆3124億円(2015年3月末時点)⇒56兆4013億円(2016年3月末時点)
  4. 15兆1775億円(2015年3月末時点)⇒15兆2633億円(2016年3月末時点)
1番以外は全て残高が増えていますね。また残高も業種によって大きな開きがあるのもわかります。

では答え合わせと行きましょう。正解は2番です。ちなみに1番=建設業、3番=製造業、4番=小売業 です。

これだけで判断するのは早計ですが、金融機関からの貸出が増えていることは、それだけ成長力があるということ。地価がどんどん上昇していた時代、即ち土地と建物を担保に入れればお金をどんどん貸してもらえた時代ならいざしらず、都市圏の一部を除いて長期下落傾向にある現状では、担保だけでは難しいわけで、そう考えると不動産業への貸出が増えているのは喜ばしいことでしょうね。

ちなみに全業種の累計は2015年3月末時点で455兆1923億円⇒2016年3月末時点で468兆3956億円と約3%の伸び。その2倍を超える伸びをした不動産業はいま最も勢いのある業種の1つ。不良債権処理という重病に長期間苦しんだ過去があるので、どこかで歯止めはかかるでしょう。が、見方を変えれば、そんなトラウマを抱えている状況でも、融資が拡大しているということ。不動産業界は当事者が思っている以上に元気な業界のようです。

日照と通風

2016.08.25

住宅を建築する際には、さまざまな悩みがあります。特に土地から取得する方は「土地が先か、家が先か」というところから始めなければなりません。

土地を購入する場合の優先順位はこれまた個人差があり、家族の中で意見が分かれることもしばしばで、利便性を重視される方もいれば、それよりも日照条件に重きを置く方もいます。いったん取得したら簡単に移動するわけにはいかないので、こだわりも当然です。

さて、ここで皆さんに質問です。次の2つの土地だったら、どちらを選びますか?

  • 土地X・・・日照条件Aランク、通風条件Bランク
  • 土地Y・・・日照条件Bランク、通風条件Aランク
この場合はおそらく土地Xを選んだ方が圧倒的に多いと思います。太陽の魅力は何物にも勝りますから。でも本当にそれでいいのでしょうか?

「日照条件は良いけれど、風通しはあまりよくない・・・」、こんな土地に住宅を建築するとどうなるでしょうか?

一言でいえば、「体に余り良くない」です。最近の住宅は高気密・高断熱の性能が著しく進歩していますので、その反動として何もしなければ昔の住宅よりも室内の換気は悪くなっています。換気の悪さは、カビ・結露の発生につながります。空気が入れ替わらないということは、臭いも籠りやすいですね。空気感染や飛沫感染する病気、例えばインフルエンザが家庭内で蔓延しやすくもなります。

ということで、現代の住宅づくりは「日照よりも通風」に重きを置かなければならなくなってきています。間取りや設備で補完できる部分もありますが、せいぜい3割増しくらい。それにお金をかけるくらいなら、土地にお金を使って別の土地を選ぶことも考えた方が良いでしょう。

ちなみに住宅を長持ちさせるためには、床下の換気がとても重要です。基礎に設けられた換気口がもし雑草やなんかでふさがれてしまうと、ただでさえ日の当たらない部分ですから、地面からの湿気が風が通らないために籠ってしまい、衛生上最もよくない「高温多湿」の環境が出来上がってしまうからです。そして、それはいずれそこで暮らす人の健康に悪い影響を与えるでしょう。

太陽が与える精神的な健康、風が与える肉体的な健康、高いレベルで両立するのが理想ですが、なかなかそうはいきません。だからこそ長い目で見た建築地の選定が重要です。(ちなみに恵那市は冬でも日照時間が長く、強い風もあまり吹かない場所です。)

2018年問題と2019年問題

2016.08.22

そろそろ来年の話をし始めても、鬼が笑わなくなる時期です。まあ、元々「鬼が笑う」こと自体がありえないと考えれば、普通の状態なのですが。

さて今日はそんな鬼が大笑いするであろう、再来年とその翌年の話です。タイトルの2018年問題と2019年問題とは一体何のことでしょうね?

まずは2018年問題から。実はこの年から18歳人口、すなわち大学入学者が減少し始めます。大学の経営が本格的に冬の時代を迎えるのです。全体が減るので進学率が変わらなければ入学者そのものも減少。少ないパイをめぐって厳しい競争が繰り広げられ、大学そのものがなくなってしまうことも充分にありえます。入学試験を受ける前に、つぶれない大学かどうか調べないといけない、そんな時代となるのです。大笑いしていた鬼がいきなり泣き出しちゃうかもしれないですね。

そして2019年問題。こちらは不動産業界にとってより深刻な話で、総世帯数がこの年でピークを迎え、翌年からは減少に転じるのです。世帯数の増加は、分譲住宅・分譲マンション(新築・中古共)だけでなく、賃貸市場の動向にも大きな影響を与えてきましたが、これによって過当競争がさらに激化し、勝ち組と負け組とにはっきりと二分化されるでしょう。

こうした状況を聞くと、将来に対して悲観的になりますが、そこは逆転の発想で。案外新しいビジネスの鉱脈を掘り当てるかもしれませんよ。

子供部屋

2016.08.18

住宅を取得する動機として、『上のお子様が小学校に上がる前に・・・』というのは大きな比重を占めています。『学校区を変えるのは可哀想』という理由はもちろんのこと、母親の心理として『家庭訪問があるのにアパート住まいは・・・』というのも大きいようです。他には、小学校に上がることでランドセル、教科書、ノート、机といった用具も必要になり、その置き場所として子供部屋を用意してという物理的な事情も加わっています。そして取得したマイホームには当然のように子供部屋が確保されていますが、実は子供部屋に対する考え方が日本(日本以外のアジア諸国も含みます)と欧米諸国では大きく異なるのをご存知でしょうか?

欧米では何と生まれた瞬間からもう個室があります。正確に言えば病院から帰宅した時点でなのですが、夜も子供と一緒に寝ることはないとのこと。(夜泣きをしようがほったらかしというわけではなく、都度子供部屋に行くようです。)日本人の常識からはかけ離れていますね。何せ保育園に通う年齢ですら、目を離したら周りから批判されるのですから。(その一方で海外からは「過保護」の批判を受けたりもしているのですが。)

欧米の考え方は、

  1. 自立心を養う。
  2. 片付けを自分でさせる。
という部分もありますが、それ以上に「子供部屋=子供の寝室」として位置づけています。あくまでも睡眠の空間であって、そこで何か(例えば読書やゲーム等)をするためのものではなく、何かをする場合はリビングなんかで家族と一緒に、そういう考え方なのです。

国際結婚では、子供部屋に対する考え方の違いが夫婦喧嘩の原因となることもよく耳にします。どちらが正しいのか、それは難しい問題なので永遠に決着しないでしょうが、子供の人格形成に少なからぬ影響を与えますので、家づくりの際には、広さや配置といった部分だけでなく、しっかりとしたビジョンに基づく子供のための空間づくりをするように心がけたいですね。

 

改装費は借主様の負担です!!

2016.08.15

空き家の増加に伴い、賃貸市場も少しずつ変化しています。DIY型賃貸と呼ばれるものが登場したのも、そんな時代の流れでしょう。

DIY(Do It Yourself)、文字通り自分の気に入ったスタイルに物件を改装するものです。ホームセンター等で材料を購入し、室内の色合いを変えたり、水回りを一新したりと、やり方は多種多様です。

通常であれば「退去時の原状回復義務」が課せられ、借りる前の状態の復元を求められますが、DIY型はそれも免除されています。もちろんあまりにも常識外れの改装は許されませんし、そもそも改装内容については家主さんや管理会社の許可が必要です。

DIY型の良いところは入居者の物件に対する愛着率が非常に高いということでしょうか。投資した分だけ『早く退去するのはもったいない!』と考えますし、何よりも『同じものは絶対に手に入らないので、転居したくない!』という思いが強いです。

したがって、家主様の側にも空室リスクを低下させるメリットがあります。最近では、スケルトン型(骨組みまでは施工済み)のDIY物件も登場しています。施工費が大幅に削減できるメリットも見逃せませんね。

ちなみにDIY型の賃貸を利用したいと考えている潜在需要は戸建て賃貸希望者の5割近くに達するとのこと。空き家にお悩みの方、一度ご検討されてはいかがでしょうか。

進化する自動販売機

2016.08.11

日本では当たり前のことも、日本以外の国から見ると『なぜ???』ということは結構あります。その1つが自動販売機です。諸外国ではそもそも自動販売機そのものが珍しいところも多く、それは海外に行かれたことのある方がよくご存じだと思います。

これは日本における犯罪率の低さが最大の理由です。残念ながら諸外国の中には、損壊そして略奪のターゲットになってしまうところが結構あります。そもそも電気というライフラインが未成熟な国すら意外に多いですから。

自動販売機の存在に加え、無人の野菜販売所なんかがある日本は世界でも稀なレベルの国であることを改めて感じますね。

さてそんな自動販売機は隠れた不動産活用の手段です。人通りの多い道路沿い、駅の構内や高速道路のSA・PA、さらには利用者の多い複合施設・オフィスビル等、自動販売機が内助の功をしているケースは非常に多いです。そして最近では新たなタイプの自動販売機が注目を集めています。

1つ目は高機能型。外国人の方向けに、英語はもちろんそれ以外の言語にも対応できるように画面が切り替わる機能や、自動販売機の中にWi-Fiが内蔵されていて、無料で利用できるよう機能もあります。これは旅行者にとって本当にありがたい機能で、外国の方だけでなく、日本人にとってもメリットの大きい機能ですね。

2つ目は災害対応型と呼ばれるもの。先の大震災のとき、コンビニから食料品がなくなったのは常識レベルですが、自販機にも多くの被災者が殺到しました。それを機に「震災等が発生したときに、本体内に残っている飲料を無償で提供できるようにする」自販機が導入されるようになったのです。

例えば実際に支援物資を避難所に搬入しようと思っても、簡単にはいかないのが現実です。しかし避難場所の自販機を遠隔操作で無料にするのは瞬時にできます。どのみち無償で提供するなら、その方がはるかに理に適っています。在庫が尽きるまでの時間は短いかもしれませんが、支援物資が届くまでの時間稼ぎはできるでしょう。

自販機を賢く活用する仕組みはこれからさらに進みそうです。ちなみに高機能型では災害情報を画面上で流す機能もあります。もちろん多言語で表示できます。隠れた情報端末として、我々の暮らしを支える縁の下の力持ち、自動販売機はそんな存在です。

空き家に係る譲渡所得の特別控除の特例

2016.08.08

これまで不動産業界で「3000万円控除」といえば、マイホームを譲渡した場合の特例のことでした。(詳しくはコチラ。)今後はそれが大きく変わるかもしれません。

というのも最近急激に関心を集めるようになった空き家問題。その対策の一環として今年度から「空き家に係る譲渡所得の特別控除の特例」が導入されたからです。こちらも同じ「3000万円控除」ですし、この制度に該当するのは、こちらの方が多いはずですから。(マイホームの売却益で3000万円以上出るケースはなかなかありません。地価が長期下落しているこの地域ならなおさらでしょうね。)

本題の「空き家に係る譲渡所得の特別控除の特例」を受けるためには幾つかの制限があります。

  1. 相続した空き家の譲渡であること。(被相続人が居住の用に供していた家屋及びその敷地が対象。)
  2. 相続開始の直前に被相続人が単身で居住していた物件であること。
  3. 昭和56年5月31日以前に築造された建物であること。
  4. 相続時から3年を経過する年の属する12月31日までに譲渡すること。(例:平成25年9月10日に相続⇒平成28年12月31日まで)
  5. 相続時から譲渡時までの間に、事業、貸付、居住の目的で使用されていないこと。
  6. 家屋付で譲渡する場合は、一定の基準を満たす耐震リフォームを行うこと。
  7. 6を行わない場合は、更地化して譲渡すること。
  8. 譲渡価額は1億円以下であること。
主なものを列記しましたが、結構ハードルがありますね。適用条件からも推察できる通り、この特例の目的は、旧耐震物件の空き家の除却促進です。リフォームにお金をかけるより、更地化した方がいろいろと都合がいいですから。(購入する側も、耐震リフォームした築35年以上の中古より、更地の方が良いですよね。)

加えて、除却が進むことで固定資産税や都市計画税の増収も期待できます。除却前は住宅の敷地ということで、大きな軽減を受けていましたが、それがなくなるわけですから。

この特例は国税や地方税の担当者との知恵比べ。目先の利益だけを追いかけないようにしましょう。

東道路と西道路

2016.08.04

東西南北、4方向それぞれに面した4つの土地、一番高くて一番人気があるのは南道路で、一番に安くて一番人気がないのは北道路ですが、では東道路と西道路だとどちらが人気があるのかというと、これは東道路の方が上です。でもなぜ東道路が西道路よりも好まれるんでしょうかね?

一番大きな理由は朝日と西日の違いでしょう。最近はほとんどの家で東南側にLDKを設けています。朝の太陽を部屋の中に感じながら、気持ちの良い一日が始まる、その方が確かに良さそうです。

一方の西日。冬の西日が室内まで射し込むのは確かにありがたいですが、暖かさの反面で畳が焼けたりするのを防がなくてはならなかったりしますので、マイナス面の方が大きいということでしょう。

他にも理由は幾つかあります。例えば、岐阜県の西部には伊吹山があります。伊吹おろしは古事記で日本武尊を絶命に追いやった伝説があるくらい。そのため、あちらの地区では伊吹おろしを避けるため、そちらの方角には極力開口部を作らないようにしているほどです。

伊吹おろしの吹き降ろす地区に限らず、総じて冬の日本は大陸からの季節風、具体的には北西の方角から吹く風に晒されます。西道路の場合は、どうしても玄関を西側に作りたくなりますから、せっかく暖房をきかせていても、玄関を開けた瞬間に、風が室内に吹き込んで台無しになってしまいやすいです。

でも住宅の間取りを考えるときの自由度は南道路よりもずっと高いというメリットがあります。南道路の場合、南側に玄関を作って、1Fの北側に階段を配置して・・・、という具合に南道路のメリットを生かすための配置を優先するため、制約が多いのです。特に縦長の敷地の場合は、相当制約されます。

その点、西道路なら正方形、縦長、横長、それぞれのメリットを生かしやすいです。駐車場の配置、庭の配置、玄関の配置、南道路と西道路で接道方向以外全く同じ形状の土地でプランニングしてみてください。きっと西道路の意外なメリットに気が付きますよ。

やっぱり土地は・・・

2016.08.01

「失われた10年」、ひところは毎日のように使われていましたが、最近ではすっかり死語となってしまいました。バブル崩壊とその後遺症による経済の低迷が完全に癒えたわけではないので、また使われ始めるかもしれませんね。

それを象徴するかのような意識の変化が公表されました。質問の内容が何なのか、皆さんちょっと考えてみてください。

【平成5年(1993年)】

  • そう思う・・・61.8%
  • どちらともいえない・・・11.4%
  • わからない・・・5.6%
  • そう思わない・・・21.3%
【平成27年(2015年)】
  • そう思う・・・30.1%
  • どちらともいえない・・・21.6%
  • わからない・・・7.0%
  • そう思わない・・・41.3%
20年あまりの間に随分と意識が変わりましたね。6割の人が肯定的だったのに半減してしまい、否定的な人が倍増しました。

では答えに参りましょう。質問の内容は「土地は預貯金などに比べて有利な資産か?」でした。都市圏の一部を除き、地価は長期右肩下がりなので、「地主さん」という言葉が、羨望や妬みの対象からだんだんと遠くなっているのは間違いないでしょう。

しかしそれでもやっぱり土地は土地のようで、相続による遺産分割による調停・審判といった事件の件数は、逆に年々増加傾向にあります。ちなみに遺産総額5千万円以下の案件が4分の3を占めているそうです。

さらにいうと、財産が「自宅と土地」のみの場合は、簡単に分割できないため、余計に遺産分割に関する問題が起きやすいのだとか。そんな事情で親族間で軋轢が生じた経験談がいろいろなメディアを通じて広がっているのでしょう。それが今回のアンケート結果にも影を落としていますね。