2016年5月記事一覧

PRE

2016.05.30

不動産業界でいうところのPREとは Public Real Estate 即ち公的不動産のことです。ところで皆さん、日本における公的不動産の比率は大体どのくらいを占めていると思いますか?

まずはざっくりとしたお話から。日本全体の不動産の価値(土地だけでなく建物も含みます)の総計は約2500兆円だそうです。大きすぎて実感が全くないですね。このうち公、つまり非民有の不動産は約580兆円で約23%、つまり約4分の1がPREということになります。意外に大きいと思いませんか?(ちなみにこの場合の「公」は国と地方公共団体だけではなく、地方の公営企業も含まれています。)このうちの約7割に相当する約426兆円が地方の分なのですが、ではなぜこれが俎上に上っているかというと・・・

  1. 地方の大半が人口流出に悩んでいる。
  2. PREに属する老朽化した建物等の維持管理費用がどんどん負担になっている。
1と2で明らかですが、仮に費用負担が横ばいでも一人当たりの負担は増大します。(分母となる人口が減少しているので) そこで対策を講じる必要が出てきたわけです。PREがお荷物になるか、金の卵を産むニワトリになるのか、今後の地方財政を考えるうえで非常に重要なのです。

国の路線はほぼはっきりしています。「コンパクトシティ化による負担の軽減」です。例えば居住区をなるべく集約させれば、社会資本の整備にかかる費用負担は楽になります。下水道を市内全域にいきわたらせるのに、工事距離が延べ1000キロなのか、延べ1万キロなのか、どちらが負担が軽いかは子供でも分かります。それは単に工事費だけでなく、維持管理コストも含めてのお話です。

この地域で居住エリアの集約化はただのお題目と一蹴されるでしょうが、都市計画上ではそういった誘導はなされるでしょう。集約化を促進するエリアには各種の補助金がつくでしょうから、それによる居住環境の改善を見越して、土地を選ぶのも良いかもしれません。

いつまで続く?

2016.05.26

国内の観光産業はこのところ活況を呈しています。とりわけ外国人観光客の増加が目立ちますが、日本人の観光客も底堅く、昨年の延べ宿泊客数は合計で5億540万人と過去最高を記録しました。日本人の日帰り観光客の存在を加味すると、観光産業は相当潤っているのではないでしょうか。

我が岐阜県はというと、約669万人で対前年比9.7%の増加(ちなみに全体では6.7%の増加)。悪くはない数字に見えますが、47都道府県の中では真ん中より少し下で、宿泊地として選ばれるためには、さらなる精進が必要なようです。

ただし外国人に限定すれば+54%とまずまず。外国人全体で48%も伸びているので、平均を少し上回っているくらいですが、現場では『かなり増えている』という印象だと思われます。しかも47都道府県の中では14位。白川郷のような世界遺産の存在ももちろん大きく寄与していますが、決してそれだけでこの順位にはならないはずです。

なおそのシェアを見ると

  1. 中国・・・22%
  2. 台湾・・・20%
  3. 香港・・・12%
  4. タイ・・・・8%
  5. 欧州・・・・5%
  6. その他・・33%
となっています。

日本全体と、愛知県、三重県のそれもご紹介しておきますので、岐阜県のカラーが結構特殊なのがご理解いただけると思います。

【日本全体】
  1. 中国・・・26.9%
  2. 台湾・・・17.5%
  3. 韓国・・・11.1%
  4. 香港・・・・8.0%
  5. アメリカ・・6.3%
  6. その他・・30.2%
【愛知】
  1. 中国・・・53%
  2. 台湾・・・・9%
  3. 香港・・・・5%
  4. アメリカ・・5%
  5. タイ・・・・4%
  6. その他・・25%
【三重】
  1. 中国・・・44%
  2. 台湾・・・17%
  3. 韓国・・・14%
  4. 香港・・・・6%
  5. 欧州・・・・3%
  6. その他・・16%
 

ホームステージング

2016.05.23

中古住宅の流通促進が叫ばれて久しいですが、現実はなかなか厳しいようです。長期金利がこれだけ低いと「まずは新築から~」と考えるお客様の方が多くなるのも仕方ありません。

が、そんなことばっかり言っていても始まりません。売る側の努力不足、そう言われても不思議ではありませんから。

中古住宅の取引が活発な海外では、売る側がホームステージングといって、「来客の購入意欲をかきたてるためのしつらえ」を当たり前のようにしています。日本では分譲マンションなんかでモデルルームが販促の手段として用いられていますが、これを通常の中古住宅の売買でも行うわけです。

こういう場合、相手の好みをリサーチしておくのは当たり前で、若いカップルかリタイア後の老夫婦かで、カーテンや家具等のしつらえもガラリと変わります。

すごいのはこういう仕掛けをする専門業者がいるということ。『売れるかどうかわからないのに、お金をかけるのはもったいない』というのが、日本人の感覚ですが、それでは『売る気がない』のと一緒というのが、海外の感覚なのでしょう。

手間をかけることで、資産価値を高めてより高い値段で売れるようにする、新築との競合が厳しい日本では、なかなか受け入れられないかもしれませんが、空き家問題の解決策の1つとして、こうした取り組みが評価されるようになってほしいですね。

 

マルハビ

2016.05.19

タイトルを見て『???』の方もたくさんいらっしゃるのではないでしょうか? ちなみに海外の珍しい動物ではありませんよ。

マルハビ=マルチハビテーション=Multihabitation のこと。直訳すると「多くの住宅」ですが、実際に意味するところは「多く(2か所以上)の住居を拠点にして暮らす」ことです。(省略して短縮するのが悪いとは言いませんが、もう少しわかりやすいといいですね。)

一例を挙げます。月曜日~金曜日は名古屋に居住して勤務先に通勤し、金曜日の夜に恵那市に移動して、土日は恵那市で農業に勤しむ、もちろん恵那市内にも専用の住居が確保されています。この場合の住まいは所有権限定というわけではなく、賃貸でも構いません。公共の交通網がどんどん整備されたことで、拠点間の移動時間が短縮されている時代背景も追い風です。

経済的・肉体的な負担を考えれば住居は1ヵ所の方がラクです。しかしながらお勤めやお子様の学校その他を考えると、1ヵ所に絞れないケースの方が多いでしょう。そこでマルハビという選択があるわけです。

田舎暮らしに対する憧れは大なり小なり、多くの都会暮らしの方が持っています。が、踏み切るのはなかなか勇気が要ります。その地域の慣習になじめなかったとき、戻る場所がないというのもリスキーですね。

ということで慣らし運転的な意味合いでのマルハビは、なかなか有力かつ賢い選択ではないでしょうか。その地域で実際に暮らしてみなければ分からないことはたくさんありますし、その上で都会の住居をどうするかを決めればいいのです。最初に選んだ田舎が肌に合わなければリセットしやすいですし。

 

子育て支援住宅認定制度

2016.05.16

少し前になりますが、東京都が「子育て支援住宅認定制度」の創設に伴い、「子育てに配慮した住宅のガイドライン」を公表しました。

『さすが、東京! 進んでる!!』と思われた方もいらっしゃるかと思いますが、実は全国には呼称こそ違え、似たような制度を既に導入済みの自治体も見られますので、その辺は誤解されないようにお願いします。

しかし実際にこのような制度は東京都の墨田区で15年近く前に始まったので、この点では『さすが!』という他ありません。都内の市区町村レベルの取り組みが今回は都のレベルになったということです。

ちなみにこの制度ですが、新築住宅に限らず賃貸住宅も対象になるとのこと。東京都のことではありますが、いずれその波はこの地域に波及してくるでしょう。上記のリンク先では実際のガイドラインの内容をダウンロードすることが出来ます。子育て世代以外にも役立つ「家づくりのヒント」がありますから、一度読んでおかれるといいでしょう。中古住宅を購入後にリフォームする、そんな予定の方も是非ご参考に。

介護帰省割引

2016.05.12

要介護になった親の面倒を見る、言葉にするのは簡単ですが実態は非常に大変です。同居あるいは近所に住んでいるケースでも思うようにいかないのに、まして遠隔地に居住している場合は、介護疲れしてしまうことも多いでしょう。

遠距離介護の三大負担は①肉体的負担、②精神的負担、③経済的負担ですが、①と②は第三者が口を挟みにくい話ですが、③については別。実際のところ経済的負担を軽くする手段は幾つかあります。

そのうちの1つが介護帰省割引。介護のための移動で飛行機を利用している場合は是非とも利用したい制度です。

当たり前の話ですが、母親なりが要介護認定を受けていることが条件(要支援でもOKです)。あまりにも血縁関係が薄い場合は対象外ですが、親子間ならもちろん大丈夫です。

事前に専用パスを作成しなければならなかったりと一定の手間はかかりますが、すぐにモトは取れます。それでいてマイレージは普通に貯まるのも嬉しいですね。

なお今のところ新幹線では同様の制度はないようです。(JR東海の場合、身体障がい者とその介護者2名で乗客する場合、一定の割引があります。)

経済的負担が軽くなると、肉体・精神両面での負担も軽くなりやすいので、たとえ月に1度くらいの利用であっても、ひと手間かけてみてください。

減れば減るほど増えるものは???

2016.05.09

世の中には一般常識が通用しない例外が意外なくらいたくさんあります。例えば・・・

  • 値段が高くなればなるほど、みんなが欲しくなるものって??
普通なら『安くなればなるほど、みんなが欲しくなる』のですが、皆さんは上の問いの答えが分かりますか? (最後の「続きを読む」で答えを確認してください。)

さて今日の題名にもあるのですが、「減れば減るほど増えるもの」って何でしょうか? こんなデータがあります。
 平成9年  平成26年
 A  253,653  310,413
 B 109,007 104,503
 C 32,540 18,182
AとB・Cの間にはとても密接な関係があります。にも関わらず、BとCが減ってAが増えているのです。

では謎解きといきましょう。

A:不動産業の法人数

B:宅地建物取引業者数(法人)

C:宅地建物取引業者数(個人)

C、つまり個人事業だった業者が法人成り したことで、「Cが減って、A、Bが増える」のなら分かります。しかし現実は異なります。皆さんの名推理は?

答えは意外と簡単。不動産業の内訳には、通常の仲介業や分譲事業のように宅建業の免許を必要とするだけでなく、貸家業や不動産管理業のように不要なものも含まれています。

1棟売りの賃貸物件を購入し、そこから家賃収入を得ている大家さん(この場合は不動産投資家ですかね)が、税務上でより有利な法人にする、そんなケースが思いのほか多いのでしょうね。不動産業界はセミプロがどんどん増えていて、中途半端なプロはどんどんと淘汰されていく厳しい時代を迎えています。 続きを読む

恵那市の絶景

2016.05.09

 

先日、本屋さんに行った時のことです。地元向けのお店ガイドが平積みされている横で「東海地区の絶景」(正確なタイトルは忘れました・・・)なる本がありました。

手に取ってみてみると、その雑誌では岐阜県代表の1つとして恵那市の観光スポットが紹介されていましたが、どこかお分かりでしょうか?

おそらく恵那峡と予想された方が多いかと思いますが、答えは岩村城。編集者の好みもあろうかと思いますが、正直驚きました。何せ天守閣も残っていない、悪く言えば「ただの城跡」ですから。

が、壮麗な石垣だけが往時をしのばせる様子は、観光客の想像力を掻き立てます。目に見える風景の先に、目に見えない城の姿を思い浮かべるという場所は非常に貴重な「絶景」の1つの形なのでしょう。

比較的手軽に行ける絶景(ただし傾斜のきつい坂道を登らないといけませんが)なので、皆さんも1度訪れてみてはいかがですか。

 

 

農地バンク

2016.05.05

今年度から新たな取り組みが始まりました。皆さんも一度は聞いたことがあるかもしれませんが、「農地中間管理機構(=農地集積バンク)」による農地の大規模集約化です。

傾斜地の多い「山の国」である日本では平野部は限られており、しかもその大半が宅地化されているので、諸外国のように大規模集約化できるかは疑問符のつくところですが、いずれにせよ件の農地バンクにどんどん貸し出して下さいというのが国の方針です。

貸し出したメリットはもちろんあります。固定資産税が半額になります。これは今年度から。もともと安い税金なので半分になったからといって有難味はないでしょうが、その一方で耕作放棄地の固定資産税は倍増させるというので、ひょっとすると思いのほか効果があがるかもしれません。

さて最後に不動産業界で囁かれている「2022年問題」をご紹介しましょう。今をさること20数年前、生産緑地法なる法律が施行され、都市圏の市街化区域内農地は、「①宅地並み課税を受け入れる」、「②30年間の生産緑地を受け入れる」という究極の選択を強いられました。②を選ぶと固定資産税は低いままですが、宅地にすることが30年間出来ないという枷をはめられたのです。

そして2022年、いよいよその呪縛が解け、生産緑地の指定を受けた市街化区域内農地が不動産市場に帰ってきます。30年の歳月により、従事者が高齢化し、後継者がいない状況のケースも多いでしょう。農地バンクがその受け皿としてどのくらい機能するのか、要注目です。

不動産活用の基本的な考え方

2016.05.02

不動産を活用する、簡単そうに見えますが、いざ真剣に考えるとその選択肢の多さに愕然とするのではないでしょうか。仮に土地を貸すにしても、そのまま貸すのか、何か建物を建てて貸すのか、さらに建物は居住用なのか事業用なのか、さらにさらに事業用なら商業系なのか事務所系なのか・・・。

このように情報の海の中で溺れそうになる前に基本的な考え方を身に着けておくことをお勧めします。まずは民法206条(所有権の内容)がその重要な出発点になります。

所有者は、法令の制限内において、自由にその所有物の使用、収益及び処分をする権利を有する。

どうでしょうか。所有権とは何か、つまり土地を持っているというのは何ができるのかということが実にシンプルかつ明瞭に書かれていますね。

つまり、①使用、②収益、③処分、この3つが自由に出来るのが所有権なわけです。

まず使用。これは「自分でその土地を使うことができる」ということ。つまり「自己使用」です。次に収益ですが、これは「他人に貸してお金をもらうことができる」ということで、いわば「賃貸」です。そして最後の処分、文字通り「売却して対価をもらうことができる」ことを指しますが、それだけでなく抵当権等の権利の目的にすることも含まれます。

不動産活用も突き詰めていけば、答えは実にシンプルで選択肢は3つしかありません。

  1. 自分で使う。
  2. 他人に貸す。
  3. 売却する。
一見無数の選択肢があるように思える土地活用も、このどれかに必ず含まれます。そう考えるとかなり頭の中がすっきりしますね。まず1~3のどれにしたいのか、そこから考えればよいのです。

そして上の1~3は2つに大別できます。1と3のグループ、そして2なのですが、この意味が分かりますか。

答えは2だけがビジネス、即ち地主さんが経営者になります。消費者契約法ではアパートの大家さんも「事業者」扱いされますが、それと同じこと。マイホームを建てたり、誰かに売るのとは、そこが大きく違います。

自分の身の丈にあった土地活用を考えるうえで、まずは明確な方針を立てましょう。立てる上でのヒントはもうお分かりですね。